投稿日: 雑記

PAKDD2017 参加報告

PAKDD2017が韓国の済州島にて5月23日から26日の4日間に渡って開催されました。参加者の多い国は韓国(90名)、中国(55名)、日本(25名)、オーストラリア(17名)、インド(16名)、アメリカ(15名)といった順番でした。PAKDDはポスター発表での採択は無く、論文の質に応じてロング発表(発表時間25分)とレギュラー発表(発表時間15分)のいずれかで採択されます。今年はこれまでで最も多い458本の投稿があり、そのうちロング発表での採択は45本と、採択率は10%を切る厳しさでした。レギュラー発表は84本の採択(採択率18%)と、こちらも採択されるのは決して容易ではない数字です。日本からは29本の投稿があり、そのうち15本が採択されていました。採択率が50%超と、投稿数の多かった国の中では断トツの採択率の高さで、そのことがオープニングセッションの中でも触れられていました。PAKDDはGoogle Scholar MetricsのData Mining & Analysisカテゴリに入っていて、h5-indexが2017年時点で22と、質の高い論文も数多く採択されています。

キーノートは第四次産業革命、SNSビッグデータ、ディープラーニングをテーマとした3講演が行われました。ディープラーニングに関するキーノートはシドニー大学のDacheng Tao氏による発表でした。冒頭は画像や映像の認識、写真の修正に関する研究を大量のデモを交えながら、「最先端の技術で何がどこまでできるようになっているのか」を分野外の人にもわかりやすく説明されていました。中盤以降は具体的な技術の話で、氏のグループでは特に、手法の高速化や省メモリ化に力を入れており、それによりリアルタイムでの認識が実現されていることを述べていました。

一般発表では、「Social Network and Graph Mining」セッションが5セッションで最多でした。他のウェブ系、データマイニング系の会議同様、Social Networkを使った研究熱は当分下がる気配は無さそうです。ベストペーパーには「Convolutional Bi-directional LSTM for Detecting Inappropriate Query Suggestions in Web Search」が選ばれました。検索エンジンがクエリを補完する際に、他のコミュニティを不快したり、法に触れたりするような不適切なクエリを推薦してしまうのを防ぐことを目的とした論文です。SNS上の不適切な投稿を特定する研究はこれまでにもありましたが、クエリは文脈がほとんど存在せず曖昧性も高い分、よりチャレンジングな課題に取り組んでいます。

私は論文がロング発表で採択され、「Taste or Addiction?: Using Play Logs to Infer SongSelection Motivation」というタイトルで発表してきました。この研究では、音楽の再生ログを分析することで、各ユーザが各曲をなぜ再生したのか、その要因の推定を目的としています。要因として、ユーザの日頃の音楽の好み(Taste)と、特定のアーティストへの中毒度合い(Addiction)の二つを考慮しています。前者だけを考慮したモデルはWWW 2010で提案されており、それを拡張したモデルをこの研究では提案しました。音楽配信サービスの実際の再生ログを使用して定量評価と定性評価を行い、提案モデルの優位性を示しました。もう少し詳しい内容はこちらで説明しています。

PAKDD2018はオーストラリアのメルボルンで開催予定です。論文の投稿締め切りは例年10月~11月です。ぜひ投稿をご検討ください。


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